《共依存って?原因や克服法を解説》
こんにちは、菊乃です。
アダルトチルドレンが陥る問題点のひとつに『共依存』があります。
共依存はどうして良くないって言われてるんでしょう?
健全な『依存』関係は世の中のあらゆる所で成り立っていて、人間関係を親密にするカギでもあるので依存関係がすべて良くないというわけではありません。
でも共依存の場合は、当事者が苦しんだり社会的に孤立してしまう、自立できない、などの問題点を抱えているのでやっぱり陥らないほうがいい。
アダルトチルドレンすべてが共依存になるわけではありませんが、自己肯定感が低いアダルトチルドレンはちょっと危険な傾向にあると言えるかもしれません。
共依存のことをよく知ることで苦しい依存関係を避けることができるので、しっかり理解しましょうね。
目次
共依存とは?
親子関係、恋愛関係、友達との関係など人間関係のすべてに現れるもので、特定の相手と必要以上に依存しあっている状態のこと。
相手との関係に自分の価値を感じてしまい、離れることができません。
いずれの関係にも「支配する側」と「支配される側」が存在していますが、どちらも一人になることに不安感を持っています。
・共依存の歴史
もともと、アメリカのソーシャルワーカーがアルコール依存症の夫とその夫を支える妻の関係性を見てつけた”Co-Dependency”という言葉が語源です。
・自分のことは一切顧みずに夫を支え続ける
・夫から暴力を振るわれても「この人には私が必要なんだ」と思い込みそばに居続ける
など
「誰かに必要とされている」という感覚が心に充足感を満たしてくれるので、自己犠牲的な行動をやめられない状態に。
問題は、夫が自分でできるようなことでも妻がやってしまうので、夫の自立を妨げてしまうことです。
夫は改善できないのを妻のせいにするし、妻は「自分がこんなにも犠牲になって世話しているのに!」と、どちらも不満を持っていて関係性は崩壊しているように見えますが、夫は世話してくれる妻を手放すのは困る、妻は自分の存在意義がなくなるのが怖い、とお互いに離れられない状態です。
・共依存は古き日本女性の姿?
共依存と聞くと、とても異常な状態を思い浮かべるかもしれませんが
“Co-Dependency”を「共依存症」と日本語に訳した精神科医の齋藤学先生によると1980年代くらいまでの日本のお母さんはみんな共依存症だと感じたそうです。
夫のため、家族のために黙々と働く。
決して自分の意見など言わず夫の言いなりになることが良い妻といわれてきた時代だったのでしかたないことかもしれませんね。
最近ではそんなお母さん像を古いとか過去のものだと捉えられていますがまだまだ、母親に自己犠牲を求めてしまいがちな文化はあります。
このように、日本の女性には共依存の文化が深く根付いているために、女性が共依存の支える側になるケースがとても多いのが現状です。
共依存の代表例
・親子関係
子どもは生まれてすぐにすべてのことを親に世話してもらいます。
親は子どもの世話をするのが当然だと思い子どもを成長させていきます。
そして子どもはいつか必ず自立するもの。
でも共依存を作り出す親は、いつの間にか子どもを成長させるためではなく「世話をする」こと自体が自分の存在意義になってしまっています。
子どもが自立してしまうと自分に価値がなくなってしまうと感じるのが怖いというのが本音。
世話され続けられた子どもは、精神的にも経済的にも自立できないようになってしまいます。
このように、親子の共依存はほとんど親が作り出しています。
・恋愛、夫婦、カップルの関係
このケースでは2つのパターンが見られます。
1つめはお互いが同じ理由で相手に依存している場合。
相手を好きかどうかよりも、「パートナーがいること」にとても強い価値を感じていて、いつでもパートナーを最優先にしてしまいます。
そのために、その他の人間関係は作れずに結局お互いがパートナーにがんじがらめになってしまい、ますます依存が強くなります。
お互い「1人になるのが怖い」と思っているので意見の違いや別行動が許せなくなったりして、健全な関係とは言えません。
もう1つのケースは、片方が尽くすことで自分に価値を感じるタイプ(依存したい側)で、捨てられたくない、相手に嫌われたくない一心で相手のいいなりになってしまうもの。
もう片方が支配する優越感から自分に価値を感じる(依存される側)タイプで、パートナーから頼られているという満足感から自身を得ています。
1つでも気に入らないことがあれば相手に暴力を振るったり、暴言を吐くなどのDVを引き起こすことが多くなります。
・友人、職場関係など
友人同士、上司と部下でも共依存関係になることがあります。
最初はよかれと思ってアドバイスしていた方が、だんだんエスカレートして支配的になってしまうなど、どちらかが「依存的」か「支配的」な要素があることで共依存関係を作りやすくなります。
その他、介護者と介護される側、上司と部下、教師と生徒など上下関係が生まれやすく対等になりにくいシーンで同じような問題が起きやすくなります。
共依存の原因
機能不全家族の中で学んだ関係性が共依存を生み出す原因になっています。
幼い頃から無条件の愛をもらえず、安心や信頼がない不安から人にしがみつくことがやめられなくなったなど、満たされない心が共依存を引き起こしてしまいます。
機能不全家族に育ったすべての人が共依存に陥るわけではありませんが、アダルトチルドレンの中では、イネイブラータイプの人たちが共依存を作り出しています。
具体的な共依存の原因を見てみましょう。
・過干渉、過保護に育てられた
親が子どものためを思ってしてきたことが行き過ぎて過保護になってしまったり、よかれと思ってアドバイスしていたのが過剰になりすぎて過干渉になったりすると、子どもは自分で考えて生きる力をなくしていきます。
親に甘えないと生きていけない子どもと、世話を焼く相手がいなくなったら生きがいがなくなると考える親子関係が共依存を生み出します。
・親が依存症だった
代表的なアルコール依存症に限らず、ギャンブル依存症、セックス依存症、仕事依存症、薬物依存症などが家族にいることで、その子どもは世話役をすることで共依存に組み込まれていきます。
依存症の父親の世話に疲れ果てた母親を子どもが支えるというケースもあります。
・虐待されて育った
親の虐待から子どもはどうやっても逃げられません。
「いくら抵抗してもムダだ」とあきらめて親の役に立つことに徹することで少しでも虐待を減らしてもらえると学習した結果、支配する側と支配される側がハッキリとした共依存関係が作られてしまいます。
・育児放棄されてきた
育児放棄されて育った人は放置される悲しみを知っています。
その悲しみの中で「こうしてもらいたかった」という思いが強いせいで、あれもこれもと子どもやパートナーに世話をしすぎてしまうことに。
してあげれることに喜びを感じているのでつい行き過ぎた世話をしてしまいます。
この他にも、母親がイネイブラーだったなど世代間連鎖もあります。
イネイブラータイプとは?コチラもお読みください↓
「依存」を必要以上に避けないで!
「共依存」とまでならなくても、「依存関係」はどこにでもあるし、誰もがしていること。良い意味で「つながり」「絆」とか呼ばれて健全な人間の成長になくてはならない役割を果たしています。
人間社会ではもちろん、自然界でも草花とハチが有名な依存関係で、誰かが誰かの役に立ちながら世界は成立しているんです。
共依存を怖がるあまり、依存を必要以上に避けると人間の成長に必要な人とのつながり・絆を作りにくくなり、人間関係がうまく築けなくなるリスクがあります。
家族以外とのふれあいがないという状態だと、今自分がいる機能不全家族だけが唯一のつながりになってしまい、共依存関係を断ち切るのが難しくなっていきます。
『依存』に敏感になりすぎてる人はコチラを読んでみてください↓
健全な依存を通り越して、お互いを苦しめてしまう共依存になってしまうのは「程度の問題」と一言で片付けられることではなく、当人が心に抱える問題が色濃く反映しているんです。
共依存に陥る人に共通するのは
・自己肯定感が低い
・孤独への不安、見捨てられ不安がある
・無価値感が強い
などがあげられます。
共依存関係の克服方法!
・自分を大切にする
まずは自分だけの時間を作ってみること。
共依存に陥りやすい人は、いつも相手のことを考えていて自分を後回しにするクセがついているから、『自分のための時間』『自分だけの楽しみ』を作るところから始めてみましょう。
・「好き」「きらい」を意識する
相手からの頼み事を断るのは「良くない」と思ってしまったり、何かと「良い・悪い」で判断しがちだと自分を見失ってしまってますます依存が強くなってしまいます。
何かをするときには、自分が「好き」(心地よい・楽しい)と感じるのか、それとも「きらい」(不快・嫌だ)と感じるのかを意識してそれを基準に判断していくと自分軸が取り戻せます。
共依存にハマってしまっていると、感覚が麻痺してしまってる場合も多いので自分の好きな味付けで料理を食べるとか好みの音楽を聴くとか、小さなことからトライしていくのがおすすめです。
・相手と離れる時間をつくる
少しでも相手のためになれれば…と考えて一緒の時間が長くなっていませんか?
相手を尊重しながら、それぞれの時間を有意義に過ごすことで、心の成長やお互いの自立につながります。
ちょっと離れた時間を作ると、相手とも新鮮な気持ちで接することができるので、お互い良い関係を作るためにも離れている時間を大切にしましょう。