こんにちは、菊乃です。
ほんのちょっとの事で絶望的になったり…
何かあったらすぐ自分を責めたり…
誰も気にしていないことにイライラしたり…
以前の私もまさにこの通りで、常にイヤな感情に支配されていました。
そうでない人にとっては「なんでそんなふうに考えるの?」と不思議でたまらないことも、私にとっては「そう考えて当たり前」とか「どうしてもそう考えてしまう」というように固定されてしまった思考だったんですよね。
このように激しくネガティブに偏った思考のことを「認知のゆがみ」といい、これを理解すると、自分から出てくる苦しい感情が減って人生がどんどん変わっていきます。
アダルトチルドレンを克服するためには、この認知のゆがみの攻略は必須とも言えるので、しっかり理解していきましょう!
認知のゆがみとは?
「何か起こる→思考→感情がでる」
このプロセスで人は感情がでてくるのですが、問題なのは真ん中の「思考(考え方)」なのです。
※詳しくはABC理論をご覧ください。
「認知」つまり「思考・物事のとらえ方」にゆがみがあると、出てくる感情が苦しいものばかりになってしまいます。
同じ「出来事・経験」があっても、生み出される感情は、とらえる人によって全く異なったものになるということです。
例えば仕事で作った書類のミスを上司に指摘されたとします。
「こんな小さなこと、いちいち言わなくてもいいじゃん!」と上司に怒る人
「ミスするなんて…私はダメ人間だ」と落ち込む人
「良かった!ミスに気づけた!次は気をつけよう」と前向きな人
など、同じ出来事があっても、とらえ方が違うとこれほど気持ちも違ってきます。
とらえ方、思考に「ゆがみ」が潜んでいるんです。
認知のゆがみは「自動思考」と深く関連しています。
次は自動思考がどういうものなのかを知っていきましょう。
「自動思考」とは?
「何か起こる→思考→感情がでる」
この流れの「思考」の部分で、人は一生懸命考えてから感情がでてくるわけではありません。
特に自分が何かを考えたわけでなく、無意識に自動的にでてくる思考です。
目の前に車があるのを見た時に、「怖い、危ない」と思う人もいれば、「かっこいい!欲しい!」と思う人、はたまた「こんな高い車に乗るなんて自慢しやがって」とやっかむ人もいます。
このように起きた出来事についていちいち考えなくてもパッと出てくるのが「自動思考」です。
アダルトチルドレンは辛い経験をしたことが原因で、物事をストレートに受け取れなくなっちゃってて、自動的に出てくる思考がめっちゃネガティブなことばかり…
例えば、私の母はいつも「金持ちにロクな人間はいない」と口ぐせのように言ってたために、私は高級車に乗ってる人を見るとすぐ「イヤなヤツ…」と感じてイライラしてました。笑
ここには「事実」も「理論」も存在しませんよね?
ただ「高級車」→「金持ち」→「イヤな人」っていう自動思考が成り立ってしまっていただけです。
私のように親が繰り返し言っていた言葉、親から教えられたことや扱われ方って心の奥までしみついちゃっていて、日々の生活のあらゆる場面に影響しちゃうんです。
この自動思考には人それぞれに違うクセ、パターンがあり、ネガティブな感情が出てきやすい人はそこに認知のゆがみが隠れているのです。
「人生辛いことばっかり」「周りにはイヤな人ばっかり」「私ってダメだなあ」といつもネガティブな感情に包まれている人は、今までの経験による「認知のゆがみ」があるせいで、落ち込むようなことを考えてしまうという「自動思考」ができあがっていると言えます。
さて、「自動思考」について、わかっていただけましたか?
この認知のゆがみと自動思考のしくみを知ることで自分の思考の偏りに気づくことができます。
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※最近では、人の考え方に正解不正解はなく、それぞれが人の特性なので「ゆがみを直す」というよりも、「別の考え方を見つけて色んな考え方ができるように」、というイメージでカウンセリングを行っています。
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認知のゆがみの原因は?
認知のゆがみができてしまう原因はとても様々で「これ」とはいいきれません。
一般的には子どもの頃の環境が大きく影響すると言われています。アダルトチルドレンが育った機能不全家族での経験はたしかに認知のゆがみを多く生み出すと思われます。
しかし愛情不足、干渉過多、虐待、コントロール、トラウマなどは全く程遠い、傍から見ても普通の問題ない家庭環境に育っても認知のゆがみが強い人も少なくありません。
「ルールは守らなきゃだめよ」
「お勉強ができていい子だね」
「失敗しないようにね」
など、特に問題があるとは思えない、こんな当たり前のように言い聞かされた言葉が心に根付いて認知のゆがみになる場合もあるからです。
優しい母、立派な父、尊敬していた先生、大好きな兄弟姉妹など、自分の周りの人たちの考えにだって影響されてるかもしれないし、さまざまな経験も影響するので原因は本当に様々です。
よく言われているような「アダルトチルドレン」と呼ばれる、問題のある家庭に育ったことばかりが原因と断定はできないのです。
また、持ってうまれた性格や性質で認知のゆがみができやすい人もいます。
代表的な認知のゆがみ10例
ここでは代表的なものを10例書きましたが、これらが絡み合った場合が多いので、どれなのかにこだわらず、「こういうのあるある!」と思ったものを参考にして、自分の思考パターンを知るのに役立ててみましょう。
① 0-100思考(白黒思考・二極思考)
文字通り、「0か100か」「白か黒か」のどちらかに結論付けてしまう考え方です。
「正しいか間違っているか」「敵か味方か」のように、両極端な答えになってしまうのが特徴です。
例)
「臨時休業するなんて、あの店は信用できない」
「反対意見を言ったあの人は敵だ」
「アダルトチルドレンの代名詞」とも呼ばれる白黒思考。詳しくは↓
② すべき思考
「○○するべきだ」「○○しなければ」という考えが強く、自分がやるべきと思っていたことができないと必要以上に罪悪感を感じてしまいます。
また、他の人がやらなかった時は、怒りや恨みを感じてイライラすることが多くなります。
例)
「人には優しくするべき」
「学校は多少の体調不良でも行くべきだ」
③ 完璧主義思考
「100点でなければ0点と同じだ」と考えて常に完璧を目指してしまうので、自分にも他人にも厳しい評価しかできません。どんなに頑張っても自分に合格点をあげられない辛さがあります。
例)
「書類に1ヵ所間違いがあった。こんな書類なんの意味もない。」
「第一志望の大学に入れなかったら、私はダメ人間だ」
④ 一般化のしすぎ
たった1,2回の失敗や悪いことが、この先もずっと起きると思い込んでしまう思考パターンです。「いつも○○だ」とか「みんな××だ」とか「絶対△△だ」と決めつけてしまう言葉をよく使います。
例)
「仲良くしようと頑張ってもいつも失敗する」
「私は絶対に試験に失敗する…」
⑤ レッテル貼り
レッテル貼りも一般化のし過ぎと似ている考え方で、たった1度の経験で、自分や他人によくないレッテルを貼ってしまうことです。
例)
「ゆとり世代の彼は仕事ができない」
「この問題が解けないなんて、彼はバカだ!」
⑥ 邪推/結論の飛躍
証拠も根拠もないのに、他人の行為・言動を悪い方に推測してはネガティブな結論を想像して、自分を苦しめてしまうような考え方。
例)
「彼が既読スルーした…私はフラれるんだ」
「AさんとBさんが話してる…きっと私の悪口だ」
⑦ 拡大解釈・過小評価
自分の失敗は大きくとらえ、成功した部分は小さくとらえてしまう。ネガティブ思考、マイナス思考、と呼ばれる考え方です。
例)
「試験に合格した。でも合格した人はたくさんいるから大したことはない」
「みんなは優しいと褒めてくれるけどただの優柔不断だ」
⑧ なんでも自分のせい(自分を責める)
自分と全く関係のないことに対しても、自分こそが最大の原因だという考え方。何がおきても「私がいけなかったんだ」と考えてしまう。
例)
「会社のコピー機が壊れたのは僕のせいだ」
「日本代表が優勝できなかったのは自分が応援しなかったからだ」
⑨ 感情的決めつけ
その時々の感情を理由にして結論を出してしまいます。自分の感情を優先し、正しいのかどうかを深く考えることはせずに、物事を決めつけてしまいます。
自分の気分がいい時は「絶対成功する」と考え、沈んでいる時のアイディアは「何をやってもうまくいかない」と極端なを判断しがちです。
例)
「彼は僕を喜ばせてくれた。最高に良い人だ」
「私の悪いところを注意してくるあの先生は意地悪だ」
⑩ 自己犠牲
自分さえ我慢していればすべてうまくおさまる、など我慢することが美徳という考え方。
例)
「家族のために私さえ我慢していればいい」
「自分が我慢していることが相手のためだ」
認知のゆがみが治りにくい人の特徴
① 人とあまり接しない人
自分ひとりの世界に生きている引きこもりなどは、自分だけの考えで毎日すごしてしまい、他の意見を聞く機会がほとんどないし、そもそも人間不信な傾向にあるので、何か助言されても「私をだまそうとしている」と疑ってしまいます。
このような状況だと思考は偏っていく一方でなかなか違う考え方が取り入れることはできません。
② 過労、睡眠不足な人
私は今でもしょっちゅうこの状態に襲われるので、特に注意しています。
体の疲れや睡眠不足は想像以上に心に打撃を与えます。気分が落ちていると感情も落ち、いつもなら冷静な判断をしようと努力できるのにその気力さえ出て来なくて、一番簡単なネガティブな思考に着地しようとしてしまいます。
③ SNSに熱中している人
自分と同じ意見ばかりが目に入り、反対意見を排除しがちになってしまいます。これまで主流だったテレビや新聞などなら反対意見も目にすることができますが、SNSではそれもせず、自分の思想にのめり込んでいきやすいのです。
載っている記事や意見に対して、本当かどうか確認せずにそれが真実だと信じ込んでしまう人も少なくありません。
④ そもそも認知のゆがみがあるという自覚がない人
自分が絶対で人の言うことや自分が知らなかったことを認めようとしない人、心が固まりすぎて「そんなわけない」と拒否する人もいますし、「認知のゆがみ」という言葉を全く知らずに過ごしていると言う人もいます。
まず、認知のゆがみについて知るところから始めましょう。
アダルトチルドレンの自覚がある人なら「けっこうあるわー」ってびっくりするかもしれませんよ。
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私は以前、ひどい感情ばかり生み出す人間でした。
そのくせ自分の考えは絶対だと思い込み、他の人の考えはすべておかしいと感じていました。人生は苦しいもので、周りは敵ばかりで、笑っている人を見ると憎らしくて仕方ありませんでした。
当時のひどい様子は書ききれないのでこの辺でやめておきますね(笑)
一方、現在の私は「人生ってこんなに穏やかだったんだー」と自分でも不思議に思うほどです。以前だったらイライラしていたことはほとんど気にならず、逆に笑ってしまうことの方が多くなりました。
認知のゆがみを修正する、認知行動療法の効果に本当にびっくりしています。
改善のために必要なこと
まず、本人が「治そう」と強い意識を持つことが必要です。
認知のゆがみは、長い期間の積み重ねによって固まっていますから、取り組んですぐ治るというものでもないので、それなりの期間、改善の努力が必要になってきます。
これをすれば一発で、というような特効薬はありません。(アダルトチルドレンはそういうの、好きですよね?笑)
でも急激に思考を変えようとすることは混乱や不安の材料になってしまい、逆にメンタルが不安定になってしまいます。
時間をかけて、徐々に考え方を柔軟にしていく方が効果があるのです。
このように、焦ることなく取り組んで行くという心構えが何より必要なことです。
※「認知のゆがみを急いで治さなければならない…」と考えてしまった人は、もう一度初めから読んでくださいね^ ^(笑)
自分の心の苦しみ、辛さを減らす手段のひとつと考えましょう。そのうえで「取り組んで行きたい」という気持ちがあるかどうかがとても重要です。
不思議なもので、自分の苦しみが減っていくと、家族や身近な人にも笑顔が増えていくものです。「自分のため」と考えられない人は、最初は「人のために」と考えるとやっていけるかもしれませんね。
ちょっとだけ実践してみよう!
初歩的なワークの1例です。試してみてください。
自分にあるゆがみをきちんと自覚して、自分に出てきた感情はどのような思考からくるものなのか、そして他の考え方はないのかをできる限りたくさん集めます。
最初に出した「仕事で作った書類のミスを上司に指摘された」というケースを例に考えてみましょう。
この出来事からどんなことが考えられますか?
「優しい上司がミスの箇所を教えてくれた」のかもしれない…
「こういう失敗を通して人は成長していく」のかもしれない…
「失敗しない人はいないから気にしないほうがいい」かもしれない…
このように「かもしれない」という考えをできるだけたくさんあげていきます。
これだけ!!
え?って驚きました?
でもこの作業を根気強く続けていくだけでも、だんだん思考がやわらかくなっていくんです。
イヤな気持ちになってしまった時、「あれ?認知のゆがみがあるのかな?」「自動思考になってるのかな?」と一度冷静になってちょっと考えることが改善の第一歩です。
(※認知のゆがみが強い人はこの「かもしれない」の例がなかなかあがってきません。無理やりでもいいので私も一緒に考えるんですが「そんなわけない」って拒否しちゃう相談者さんも少なくないです。このワークで「かもしれない」が全然でてこない人は、かなり強固なゆがみがあるので、カウンセラーなど専門家に手伝ってもらうことをおすすめします。)
認知のゆがみを改善して、楽しい、幸せな人生を歩んでいきましょう!
生きかた向上ナビでは、認知ゆがみを修正していくワークで認知行動療法を実践しています。
考え方のパターンを知り、しなやかな心を育て、穏やかで幸せな人生に導いていきます。